[ふしけんアーカイヴス:特別取材記]

最先端の高次元科学の解説

森田 健

4次元サイコロ  このレポートは私自身の体験を記したものではない。「不思議現象は高次元の現象である」という私の仮説が、最先端の科学でどう解釈されているかを科学的見地からレポートしたものである。データ出所は「ホーキング、宇宙を語る」とミチオ・カク著「超空間」である。
 不思議現象は科学で解明できないという見方もあるが、私はそうは思わない。いずれ全て科学で解明できると思っている。それが高次元という切り口なのだ。しかし科学者が、三次元から高次元の見方に変えるためには大きな視点の移動が必要で、我々が生きている間にはその解明はおそらく無理であろうと推定する。
 それでも好奇心の強い人なら目の黒いうちにその世界をかいま見てみたいと思うだろう。
 このレポートは、正当な科学者の目からは評価されえない分野ではあるが、勇敢にも高次元があるのではないかという視点に立った科学者たちの軌跡である。ただし断っておくが、科学の解説レポートなのでむずかしい単語もそれなりに出現する。


<ことの始まり>


 1919年、ドイツのケーニヒスベルク大学の無名の数学者、テオドール・カルツアからアインシュタインに一通の手紙が届いた。この数学者はほんの数ページの短い手紙の中で、今世紀最大とも言える問題の解決法を提案していた。五次元(四つの空間と一つの時間次元)
を導入すれば、アインシュタインの重力理論とマックスウェルの光(電磁波)の理論を統一できるということを、カルツアはわずか数行で説明していた。かつてリーマンが考えたように、カルツアも、光は高次元が細かく波立つことによって生じる一種のさざなみだという仮説を立てていた。
アインシュタインはこの手紙に動揺し、二年間もしまっておいた。そして「物理学の統一問題について」という論文を発表した。
 物理学史上、空間の四次元が使用されたのは、これが最初だった。

 はじめて五次元に遭遇した物理学者が疑問に持つのは「五次元はどこにあるのか」という疑問である。
 この疑問に対するカルツアの巧妙な解答は、何年か前にヒントンが提唱したものと基本的に同じである。実験で観測できない高次元は、他の次元とは異なり、原子が入り込めないほど小さく丸められてしまっていると言うのだ。つまり第五の空間次元は、電磁力と重力を操作するために導入された純粋数学的なトリックではなく、これら二つの力を一つに統一するため、接着剤として働く、物理学的な実在(次元)なのである。ただ、あまりにも小さいため、実際に計測することができないのである。

 1926年、数学者のオスカー・クラインは、五次元がなぜ小さく丸められたかはおそらく量子論によって説明できるだろうと主張し、五次元の大きさを計算した。それは10のマイナス33乗センチメートル(プランク長)だった。こんなに小さくては、地球上に存在するどんな実験装置を使っても、五次元の存在を検出するのは不可能である。
 この仮説によると、五次元は測定できないほど小さいのだから、実験に反しているとはいえない。しかしその一方で、五次元は途方もなく小さいため、どんなに強力な計測装置を製造しても、この仮説の妥当性は証明できないとも言える。量子物理学者パウリは、「まちがっていることすら証明できない」と言った。


<超弦(ちょうひも)理論>


 超弦理論は1968年まったく偶然に生まれた。
 ガブリエル・ヴェネツィアーノと鈴木眞彦がスイスのヨーロッパ合同原子核研究機構で研究中、オイラーのベーター関数が素粒子の相互作用を記述するために必要なあらゆる性質を備えていることを発見した。鈴木は先輩物理学者に相談したら、そんな理論は発表しない方がいいよとアドバイスされた。結局その理論は「ヴェネツィアーノモデル」と呼ばれ、それをかわきりに何千という論文が発表されるのだった。(鈴木は自分の意志で発見を発表すべきだった)
 そしてヴェネツィアーノモデルの性質の背後に振動する弦の存在が発見されたのである。 弦理論は通常の理論とは逆の順序で、しかも偶然に発見されたために、その根底にある物理学的な原理がまだはっきりわかっていない。
 それでも、どこまでわかっているのだろうか。
 宇宙に存在する粒子はどこまでいけば基本的な要素なのだろうか。ニュートリノが基本的な要素だろうか。弦理論によれば、素粒子をなんらかの方法で十分に拡大して観察することができれば、振動する小さな弦が見えるという。素粒子が基本的だとすれば、我々の装置の倍率がまだ十分ではないからだ。弦理論に従えば、物質とはこの振動する小さな弦が織りなすハーモニーにすぎない。バイオリンで演奏するために無数のハーモニーを作ることができるように、物質にも振動する弦によって構成された無数の形態がありうる。このようにして多数の粒子の存在を説明することができる。
 弦理論は粒子の本質だけでなく、時空の本質も明らかにすることができる。弦の方程式からアインシュタインの方程式が導き出されたため、物理学者は非常に驚いた。これはたいへんなことだった。アインシュタインの方程式などまったく考えに入れていなかったのに、弦理論からそれが現れたのだから。アインシュタインの方程式はもう基本的なものではなく、弦理論から導き出すことができる二次的なものなのだ。
 しかし弦が矛盾なく運動できるための条件は厳しい。たとえば弦は三次元や四次元では運動できない。弦が運動できる次元は10次元と26次元だけである。
 さて、なぜ個体や液体ではなく、弦(ひも)なのか。これに対する物理学者の答は結構苦しい。DNAやタンパク質を構成する要素はヒモだというのだ。だから宇宙の基本要素もヒモだというのだ。しかし元々数学的に発見された理論なので、物理学や哲学的な理由付けはこれからされるべきであるのだ。


<21世紀の科学>


超弦理論が発表されると、次々に科学者がこれに挑戦した。
 1974年には26次元ですべてが矛盾なくなることが証明され、さにら10次元でも矛盾がなくなることが証明された。
 しかし、ここで超弦理論は深い冬眠に入る。10次元とか26次元とかの空間があまりに抽象的だったのだ。超弦理論は物理学者から10年間にわたって忘れ去られることになった。
 その間、超重力理論というのが注目をあびることになる。しかし山のように発表されるモデルの山に物理学者はいらだった。
 ついに1984年、グリーンとシュワーツが超弦理論こそ、量子重力を記述するただ一つの矛盾ない理論であることを証明し、超弦理論は返り咲いた。
 超弦理論で使用する数学のむずかしさと厳密さはめまいがするほどで、数学者さえ驚くほどである。しかし、この理論を批判する物理学者たちは一番痛い部分を突いてくる。どんな物理学の理論も実験により検証されなければならないというのである。しかしプランクエネルギー、つまり10の19乗ギガ電子ボルトで定義される理論を検証することは不可能である。このため、弦理論はそもそも物理学の理論ではないといって批判される場合もあるほどだ。
 検証に必要な10の19乗ギガ電子ボルトは、現在稼働している粒子加速器の最大出力の1000兆倍で、作るとすればその経費は世界中の国の国庫をすべて空にしてもまだ足りない。われわれは20世紀に21世紀の物理学を偶然に発見してしまったのか・・・。
 超弦理論の物理学者は、これを証明するためには二つの選択支しかないのではないかと言っている。
1.何兆倍ものエネルギーを制御できるまで(何世紀も)待つ。
2.超空間の操作技術を確立している地球外文明と接触する。
 このように高次元科学は、理論としては確立しつつある。三次元側からのアプローチでは我々が死ぬまでの間に証明されることは不可能である様子だ。そこで不思議研究所をはじめとする「うさんくさい」機関が、超能力や宇宙人情報を駆使して何とかしようとしている訳である・・・。


<ホーキングの登場>


 再び暗礁に乗り上げた弦理論を大海原に引き戻したのは、あのホーキングだった。

 当初ホーキングはブラックホールの研究で世界的評価を得たが、彼自身、今はブラックホールは時代遅れだと言っている(物理学にも流行がある)。彼は現在統一場という大きな獲物をねらっているのだ。その方法は、大方の物理学者が量子論から弦理論に迫っているのに対して、彼は相対性理論から攻め込んでいる。つまり宇宙全体を量子論的に考察しているのだ。名付けて量子宇宙論だ。
 量子論は素粒子のとりうるあらゆる状態を確率論的に記述したものである。それはわれわれが生活する空間とはかけ離れたものとして考えられていた。一つの電子が二つの穴を通過し、むこうのスクリーンに縞模様を作る現象は、量子の世界だけの現象だった。しかしホーキングはそれを宇宙全体に発展させた。電子が幾つもの状態をとりうるように、宇宙も(平行宇宙が)幾つも存在しても良いのではないかと考えた。
 我々の宇宙をシャボン玉だとすれば、シャボン玉が幾つも浮いているのが全体の宇宙で、その全体の次元が10だとするのがホーキングの理論だ。このことが証明されれば、われわれの宇宙は唯一の宇宙というわけではなくなる。
 われわれがこれらの宇宙間を旅行することができないのは、われわれの科学技術の水準がまた初期的段階にあるためだと、科学的な次元間航行の可能性さえも、ホーキングは示唆する。


<五次元は銀河の滅亡を救えるか>

<小惑星>


まず、近未来と遠未来を分けて考えるとすれば、近未来において最も地球を滅ぼす可能性があるのは小惑星との衝突だ。
 精密な観測によれば、地球の軌道面は多数の小惑星の軌道面と交差しており、ニアミスを起こす可能性は、我々が考えるよりずっと頻繁に起こっている。一番新しいところで、1993年1月3日に分かった小惑星で、NASAがレーダー撮影した写真によると直径は3キロで、地球から350万キロにまで接近した。
 NASAの報告によれば、地球の軌道面と交差する小惑星の数は1000個から4000個にのぼり、いずれも人類の文明に十分な威嚇を与える大きさだという。だが、これらの比較的大きな小惑星のうち、レーダーで追跡できるのはわずか150個にすぎない。さらに地球の軌道面と交差し、直径100メートル前後の小型のものとなると、その数は30万個にも及ぶという。しかもこれらの小惑星の軌道はほとんどわかっていないのである。
 これらの小惑星を宇宙空間で爆破するために、水爆の継続的開発すら必要であると主張する科学者グループもいる。

<メネシス>


 1980年、カリフォルニア大学の科学者グループはショッキングな説を発表した。もうひとつの太陽、「メネシス」の存在である。
 さて、今から6500万年前に彗星か小惑星が地球に衝突して、恐竜を絶滅させた。これは地層を調査するとちょうど6500年前にあたる部分からイリジウムという隕石の中にしか含まれていない物質が検出されたことで分かった。
 だが驚くべきことに、地質学や古生物学によると、恐竜も含めて、これまでに地球上の生命の歴史では、大量の種が短期間のうちに絶滅するということが何度も起こっている。6500年前の白亜期のものと比較しても、ほかの時代の生物種の絶滅はさらにひどいものだった。例えば今から2億5000万年前の二畳期には、すべての動植物種のなんと96%が絶滅している。二畳期の海で爆発的な繁栄をとげた三葉虫は、ちょうどこの時期に突然地球上から完全に絶滅してしまった。このような動植物種の大量絶滅は、少なくともこれまで5回あったと考えられている。古生物学者のディビットとジョンは、それぞれの地質年代に地球上に存在したことが分かっている種の総数をグラフ化してみた。その結果、時計で計ったように、およそ2600万年の周期でその数が激減していることが分かったのである。こうした周期の一つである6500万年前の白亜期には、恐竜が絶滅している。その次の周期にあたる3500万年の始新世末期には、哺乳類の多数の種が死滅している。
 だが最大の謎は、いったいなぜ2600万年周期なのかということだ。古生物学、地質学の各分野で集められたデータを検討しても、これまでのところ2600万年の謎は解明されていない。
 そこにカリフォルニア大の科学者四人が説を発表した。実は、我々の太陽が二重星で、もう一方の星(「メネシス」つまり死の星と名付けられている)が地球上の動植物を周期的に絶滅させているのではないかというものだ。つまりメネシスは2600万年の周期で太陽に接近するのである。メネシスがオールト雲(冥王星の軌道のはるかかなたにある彗星の巣)のそばを通過すると、彗星がなだれのように太陽に向かって接近を始め、その中のいくつかは地球と衝突する。
 この一風変わった仮説には証拠がある。各地質年代の地層を古いものから順に調べていくと、大量絶滅の周期に対応する地層には必ず多量のイリジウムが含まれているのである。

<太陽の死>


長期的に見れば太陽はいずれ死ぬ。太陽は核融合の原料となる水素を使い果たしてしまうと、次はヘリウムを燃焼させ、激しく膨張し、最終的には火星の軌道付近まで達する。当然地球は太陽に飲み込まれてしまう。
 カール・セーガンは次のように書いている。
「今から数十億年後のある日、ついに地球最後の日が訪れる。北極と南極の氷は解け、世界中の海岸に巨大な高波となって押し寄せる。ついに海水は沸騰し、大気は宇宙空間に飛散していく。我々の想像しうる最もすさまじい破局が地球を覆い尽くすのである」

<銀河の死>


 数十億というスケールで考えれば、我々の住むこの天の川銀河系にも確実に死がやってくる。厳密にいうと、我々の太陽系は、天の川銀河の中の「オリオン腕」という領域に位置している。
 天の川銀河からいちばん近くにある銀河でも200万年も離れたところにある。これはアンドロメダ銀河と呼ばれ、我々の天の川銀河の二倍から三倍の大きさだと考えられている。これら二つの銀河は、秒速125キロという猛烈な速度で接近し続けていて、50億年から100億年の間には衝突するかも知れない。

<宇宙の死>


 数十億年というスケールで考えていくと、究極的にはこの宇宙の死という最も恐ろしい結果が待ち受けている。
 宇宙が開いていれば、宇宙は永遠に膨張し続け、究極の低温である絶対零度の中で宇宙は死んでいく。一方宇宙が閉じていれば、あるとき膨張は収縮に転じ、超高温のビッククランチの中で死んでいく。

<高次元による脱出>


 だが、一つだけこの宇宙から脱出する可能性が残されている。時空のすべてがビッククランチという超高温の破滅に向かって進んでいるとき、そこから逃れる唯一の方法は、現在の時空を放棄するということである。つまり超空間を通って現在の時空から抜け出すのだ。こんなことはとうてい不可能に思えるだろうが、実はそうでもないのである。超弦理論を使ったコンピュータの計算によると、天地創造の次の瞬間、現在の四次元空間は双子の六次元宇宙を犠牲にして膨張し始めたということがわかっている。つまり四次元宇宙と六次元宇宙の究極的な運命はつながっているということだ。
 この仮説が正しいとすれば、我々の四次元宇宙が崩壊するとき、こんどは双子の六次元宇宙が次第に膨張を始めるかも知れない。現在の宇宙が限りなく収縮してしまう前に、知的生命体なら六次元宇宙の門戸が開かれることに気づき、なんかそれを利用する方法を見つけだすことだろう。
 コロンビア大学の物理学者、ジェラルド・ファインバーグは、もう一つの次元を通って、究極の収縮へ向かう現在の宇宙から脱出するという大胆な試みについて次のように語っている。
「まだ現在の段階では、この試みはSFのストーリーにすぎない。だが、我々が知っている次元以外の次元が存在するとすれば、あるいは現在我々の住んでいる時空のほかに別の四次元の時空が存在するとすれば、それらをお互いに結び付ける物理現象が存在してもおかしくないと私は考えている。この宇宙で生き延びることができたとすれば、知的生命体はビッククランチが起こる何十年も前に、この推論に対する物理学的な実在が存在するかどうか、またどうしたらそれを現実に利用できるのかといった問題に、はっきりした解答を与えているはずである」


 科学は今、高次元に向かっている。しかし日本人科学者の中でこれを支持している人たちは極めて少ない。私がたまたまTVで対戦したW大学のO教授などは、「もし高次元が存在したら、私は大学に辞表を出す」とまで言い切っている。
 逆に精神世界を研究するグループは、高次元の精神面のみを誇張して解釈しているのが現状である。例えば、私は高次元を自ら体験するためにモンロー研究所へ行ったが、いわゆる精神世界にはまった人達は「幽体離脱は精神的ものであり、科学的な機械で出来るものではない」という批判をあびせてくる。しかし一つのところにたどり着く道はいろいろあっていいと思うのだ。
 科学と不思議はもっと手を結ばなければならないと思う。


※[ふしけんアーカイヴス]内のコンテンツはその多くが1990年代に記述され、提供時のままの内容で保存・公開されています。現在においても内容が正確であるという保証はありません。
 また当時は有効であったURLが、現在は存在しないサイトやページにリンクしているかもしれないことにご注意下さい。

戻る


©1996-2007 不思議研究所 Fushigi Kenkyujo All rights reserved.
当サイトに掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します