[ふしけんアーカイヴス:特別取材記]

超念力治療師 若山敏弘

森田 健



超念力であじさいの葉を動かす


 私は世の中に念力というのが存在する可能性について、大きな疑いを持っていた。テレビなどでやる超能力ショーは、どこかに磁石を持っていると聞いている。この場合、三次元に存在する四つの力のうち電磁気力を使うものだから、何の不思議もない。だから本物はないと思っていた。
 しかし私の目の前の男は念力など簡単だと言う。彼は「とりあえずそこのあじさいの葉を動かしてみましょう」と言ったのだ。
 標的になったあじさいは、南向きに位置されたサッシの内側のテーブルに、鉢植えにされてちょこんと乗っていた。まだ包装紙まで付いている新しい感じのあじさいだった。
 「どの葉にしましょうか? どれでも指定して下さい」と彼は無造作に言った。
 私はあじさいの鉢の前に座り、半信半疑で「では、これをお願いします」と少し横に付いた葉を指さした。正面を向いた葉だと、風をおこされた場合、一番敏感に反応すると思ったからだ。私に指定された葉は、ちょうど彼から見ると、斜め45度で、ちょうどそれを1/3ほど隠す形で前に正面を向いた葉があった。風とか気とかが、この空間を直線的に飛んでくるなら、正面を1/3だけおおった葉も絶対に揺れるはずである。
 彼はポーズをとった。  「おっと」
 彼はそう言うと、すぐ近くにあったエアコンのリモコンを切った。その時は定温状態になって風は出ていなかったが、念のためだろう。
 両足を少し開き、リラックスして、片手を額の前に持ってくるポーズを再びとった。
 そして彼はちょうどおいでおいでをする時のように、手を5センチくらい小刻みに揺らしはじめた。
 その時、私の目の前で信じられないことが起こった。あじさいの厚い葉が、彼に向かっておじぎをし始めたのだ。その振幅の幅はちょうど7ミリくらいだった。一センチには満たなかったと思うが、5ミリよりは大きかった。パカパカと彼の手に反応して上下に動いていた。他の葉はまったく動かなかったのに。
 これは彼が経営する治療院の部屋での出来事である。私はこの力を超念力と名付けた。彼は単に念力と言っているのだが、すばらしく病気を治す力を秘めているため、あえて私は「超」をいれさせてもらった。そして誰でもできるという彼、ほんとうにノウハウの詳細を教えてくれたのだ。

新たな一歩、台湾で修行


 若山敏弘、55才。子供のころから医者でも治せない病気を治してあげられたらどんなに素晴らしいだろうと思っていて、さっそく18才になった時、指圧マッサージの資格を取り、カイロプラクティクスドクターの幾世登(いくよのぼる)氏に師事し治療所を岐阜の駅前で開業し、26年間もの間かなり繁盛させていた。ある程度お金も手に入れ、安定した生活を送ってはいたが、「あそこに上手な先生がいる」と聞けば行って確かめずにはいられない彼だった。そういう意味で彼の人生は試行錯誤だったのだ。
 そんな彼は、ある日テレビで初めて超念力を見る。密教の修行者が動けない子供に手を触れずに、あっという間に治してしまったのだ。その信じられない光景が頭から離れなかった彼は、何と家や土地を売り払って、あともどりできない状態にして台湾に渡ることになる。
 台湾では一流と言われる太極拳の林先生に会った。先生は彼に実演と称して、弟子を5メートルほど離れたところに立たせ、その彼に向かい合うように立つと、手を少し震わせた。と同時に弟子はまるで電気仕掛けの人形のように、後方へ飛び跳ねていったのだ。「なんだ、これはバカバカしい」。彼はがっかりして帰った。「私の求めているものはきっとあるはずだ、きっと」とつぶやきながら。
 自分の求めるものは必ずあると信じつつも見つからない日々を2年間過ごし、再び林先生のグループの太極拳の練習を盗み見ることになる。そして、何週間か過ぎた頃、彼の中に疑問が生まれたのだ。「何故、こんな面白くもないものを黙々と練習しているのだろう。人によっては何十年も続けている。ということはどういうことなんだろう。どう見ても中腰で、腰を前に突き出す動作は格好悪い」
 しかし、何故・・・そう考えてもう一度注意深く、みんなのやっている動作を見て気がついた。一つの動作の中には腰を前に突き出し、仙骨を前方へ送り出す形が必ずあることを発見したのだ。
 仙骨が人間の体の中では最高の機能を持っていると考えていた彼はさらにこの仙骨の動きを、身を守り相手を倒す武術である太極拳にどう取り入れているのか知りたいと思った。それは身体のほぼ中心にある仙骨の動きがまるで波が伝わっていくように手や足に運動していく。
 サーカスの猛獣使いが持っている鞭は普段は柔らかくしなやかだが、一旦振り降ろされると、その動きは一瞬のうちに先端まで伝わり、その先端のスピードは音速を越えると言われており、衝撃はもの凄いことが想像される。彼らはそれと同じ動きをやろうとし、毎日練習していることがわかったのだ。仙骨からのバイブレーションが手や足の先へと伝わり、更に相手の体へと入り込んでいく。そのため体の表面よりも内部に破損が大きくなる、武術に取り入れていたのはここだったのだ。
 これがあの格好の悪い動きだったことを知り、次にはあのスピード感のない動きの解明に入った。低い中腰の姿勢を何分かとっていると大腿部分が徐々にだるくなり始め、さらに続けると膝がガクガクになる。大腿四頭筋を鍛えると、多くの病気の症状が消えると言うことを知っていた彼は、ここで太極拳のゆっくりとした動きの謎を解いたのだ。
 少し医学的になるが、大腿四頭筋への刺激によって脳から三つのホルモンが分泌される。第一はドーパミンホルモンで、これは気持ちがわくわくしてやる気を起こさせる。第二はエルドフィンで、モルヒネの数倍もの沈痛作用があり、痛みは消滅し心地よい快感が得られる。第三は副腎皮質ホルモンで、全ての炎症を治す最も優れた物質である。これらは精神的、肉体的ストレスから開放してくれる最高のものだ。
 若山さんは太極拳のすばらしさを知り、もう一度、林先生のもとで練習を始めた。二年前に見た手も触れずに相手を飛ばすということが、気でできるのだとわかった時もそんなに強力に相手に通じるのなら、この気で治療というものができないかと考えた。鍛錬によって気を養い、蓄積し、自由にコントロールし使うことができるようになるにはどうしたらよいかを林先生に訪ねると、先生は「呼吸」だと教えてくれた。
 それから鍛錬をする毎日が始まり、ついに普段何気なくしている呼吸と同じように、宇宙の生命エネルギーである気を身体のどこからでも取り入れられ、自由に移動させることが体感できるようになったのだ。
 仙骨に抱かれるように眠っている自己の生命エネルギーを目覚めさせ、外から取り入れた宇宙の生命エネルギーと合体させると、すさまじいエネルギーの固まりが出来上がる。ちょうど、身体の中に巨大な発電所ができたと思えばよいとのこと。そこでは巨大なエネルギーを蓄えることも放出することも自由自在。そのエネルギーが離れたところに立っている人を飛ばしてしまう力となるのだそうだ。
 早速この大きな発電所作りに取りかかった彼、丹田に宇宙のエネルギーを集め、仙骨のところにある自己の生命エネルギーを丹田に引き上げ、二つのエネルギーを一つになるようにしたのだ。この時、丹田のところに熱く赤い火の玉のようなものができたと言う。そして、その火の玉は好きなところへ移動することができる。
 発電所のモーターが回り出したように、トク、トクと動き始め、そこで作られたエネルギーを一気に頭を突き抜けて天空に飛び出していくくらいに上昇させると脳幹から綺麗な光とともに強烈なエネルギーが出ていったのだ。これを感じたときは「これだ、これだ」と叫び小踊りし、この感動はずっと忘れないそうだ。
 次の日、いつものように患者さんがきた。腰の痛い人、足を引きずってくる人。いつものように一応やりながら、意識は丹田に集中させトク、トクと発電機が動き出し、赤い火の玉ができるとそれを上昇させ、脳幹からエネルギーを送り出した。すると、患者さんの痛みを表していた表情が消えていくのがわかった。信じられないくらいすばらしい力を授かったのをその時本当に知ったのだ。
 そして独立し、台湾の地で超念力による治療と門下生への伝授育成を始め、最後は5階建てのビルを借り、スポーツジム、武術場、治療所などを開いて成功を納めた。
 3年前、帰国した彼は今度は日本で超念力で病気を治すことを挑戦し始めた。そして、行き着くところは密教の修行僧がおこなっていた一瞬で治してしまう治療への挑戦だ。

超念力はたった一日でマスターできる


 有名な横綱の関係者林悦道氏から電話が入った。1995年9月の両国国技館で行われる大相撲東京場所の一週間前の日だった。
 かねてから気功の伝授を頼まれていたこともあり、いつもの治療を休み、横綱の部屋へ行った。指導スケジュールをきめてほしいと言われたが、「今日だけです」と答えた。そして自分の技を知ってもらうために、体重100Kg以上ある付き人に瞬間的に霊動を起こし、念を送った。数秒後、付き人はドドッードシーンと尻もちをついた。横綱はソファーから立ち上がり、あけはなしてあった部屋のドアを閉め、ニコッと笑った。気に入ったのだ。原理を説明し、横綱にもやってもらった。さすがにその道の最高位までのぼりつめた人だった。その日一日でマスターしたのだ。横綱がひとにらみすると、それだけで付き人はトットットッといき、その場に立っていられないようになったという。
 誰でもできるという超念力、それは自転車を習うようなもので、コツがわかれば二度と忘れることはないらしい。だから一度身につければ毎日の訓練など必要なく自然に使えるようになると言う若山さんに、超念力能力開発のやり方を教えてもらった。

超念力マスターの方法


 まず、脳幹部、前頭葉、A10神経、この三箇所を活性化することが必須条件だ。
 1.脳幹部・・・脳の中心にあり、宇宙にあるすべてをキャッチし、認識してそれを外部に放射することができる部分。
 2.前頭葉部・・脳の前部にある器官。人間のみが持っているもので創造する能力部分。
 3.A10神経部・脳幹と前頭葉を結ぶ神経。気功能力を発揮する時にぜひ活性化しなくてはならない部分。ここがカギとなる。

 一般には、前頭葉から脳幹への回路を通わせられる人はいる。つまり霊能力者だ。しかし反対に脳幹から前頭葉への回路を強く開いている人は少ない。これは宇宙意識体へ命令でき、目的を具現化できる人だ。さらにA10神経が働かないかぎり念力術は使えない。A10神経は緊張したり怒りの感情があるときは働かず、喜びの状態のときに働く。次は脳幹部、前頭葉、A10神経を活性化させ、念力エネルギーを放射させるまでの方法だ。
 室内で行う時は窓を開け、身体の中から出る邪気が溜まらないようにする。

脳幹部の活性


 ・床にリラックスした状態で足を組んで座る。親指と人差し指で輪を作り、腿の上に軽くのせ、エネルギーが逃げないようにする。
 ・軽く目を閉じ、鼻腔の一番奥の上部に微振動音を与えながら「吐く」「吸う」を途切れることなく意識的に行う。この呼吸法により、鼻腔と脳幹に接する薄い骨が震動し、脳幹が活性化されてくる。
 ・活性化されてくると、身体が温かくなり、呼吸が楽になる。
 ・この呼吸法を続けていると、頭の上部からまばゆいばかりの光の輝きが見える人もいるし、また、光の粒子が全身にふりそそぐ光景を見る人もいる。
 ・うまくいくと、この呼吸法をやめた時、身体の中が空洞になったような感覚を覚えることができる。

エネルギーの通りを改善


 ・足を少し開いて立つ。
 ・背骨を前後に動かす・・・手を組み、その手を前に出した時には膝を曲げ背中を丸くする。手がお腹にきた時には胸を突き出し、胸にきた時には全身伸ばす。大きな卵を磨くような動作を繰り返す。背骨を柔らかく動かし30回行う。
 ・背骨を左右に動かす・・・手のひらを合わせ、膝を曲げる。手は顔の高さから行い、手が左の時は腰は右になるように、手が右の時は腰は左になるように動かす。手を上げ下げしながら30回行う。
 ・背骨をねじる・・・・・・前屈みになり、手をだらりと下げる。肩を回転させながら井戸のつるべをたぐり寄せるように動作をする。手を上げ下げしながら30回行う。

大腿筋を刺激


 ・足を45cmくらい開き、手を後ろから前に勢いよく持ってくると同時に膝を曲げる。この屈伸運動をする時、息をおもいきり吐き出し、立ち上がった時息を吸う。100回行う。スポーツをやっている人は200〜300回行うとよい。これは気功でいうところの身体に溜まっている邪気(悪いエネルギー)を吐き出す動作で、この邪気が出切ってしまうと今度は宇宙のエネルギーが身体に入ってくるようになる。
 ・次に足先を少し開いたまま膝を曲げる。背骨は猫背のようにやや丸くし、重心は足の親指の根元のあたりに持ってくる。大腿四頭筋だけを緊張させ、それ以外は力を入れないで、関節、筋肉のすべてをリラックスさせる。
 ・やがて、両腕、両足、背中、腹部などに熱い「気」の流れを感じることができる。
 ・大腿四頭筋に震動が起こってくる。自分で一番震動するところを見つけ、気持ちが良いという意識を持つ。縦の震動が良い。
 ・軽く目を閉じ、生まれた時から現在までの楽しかったこと、世話になった人を一人一人思い浮かべ感謝をしていく。終わったら目を開けてよい。この事により身体の中にどんどんプラスのエネルギーが沸き上がってくる。身体の関節がゆるみ、細胞の一つ一つが活性化し、A10神経が働き出し、全身に微震動が広がるようになるとよい。これらの動きは別売ビデオに納められているので、興味のある人は巻末の案内を見ていただきたい。

超念力の完成


 ・椅子に浅く腰掛け、かかとをあげる。全身震動が起こる位置を見つける。これが見つかると以後は屈伸運動をしなくてもよくなる。「震動せよ」と意識して細胞に命令すると瞬間に表せるようになる。
 ・ここまで来たら震動させながら自分の筋肉が柔らかくなった事を確認してみる。心の中で「私の筋肉よ柔らかくなりなさい」といい、目を閉じ柔らかくなった姿を心象化する。心象化できたら「私の全身の筋肉よ柔らかくなりました」と断言する。
 ・命令が効いた時には前屈でかなりのところまでいく。気功術は準備体操も何もせずに即座に筋肉に命令できるようになるのである。
 もうこうなれば自分の身体をたちどころに良い状態にできる。これが自己超念力術である。次は、他者に対してエネルギーを送るときのやり方である。

他者超念力術


 術者は前に練習したように震動を起こし、変性意識状態に持ってくる。次に披験者自身のエネルギーが出ないようになっているバリアーを破ることから始める。このバリアーを一度破っておかないと念力の効果が薄くなる。
 ・術者は披験者のお腹に右手を背中に左手を置き、1分間息を止める。このことにより術者の身体のバリアーを破り右手からエネルギーがどんどん送られる。左手はピリピリしたり、温かくなったり、チクチクしたりする。この時披験者のバリアーが破られたのである。1分間、息を止めることで、以後、2〜3分エネルギーが放出されやすくなる。
 ・丹田にあるエネルギーを瞬間に引き締めることによって脳幹から紫色のエネルギーが相手に入っていく。(エネルギーの出し方はヨガの行者成瀬雅春氏に習った)
 こうしてやることにより初心者であっても相手の身体に良い影響を与えることができる。

 さて、若山さんの治療院に行く場合、費用は現在一回5000円である。それでも安いと言ったら、最近は一瞬で治すことが出来るようになったので、そのうち一回1500円くらいでやろうと思っていると断言した。
 すべてのノウハウを公開してくれた若山さんだが、実はもうこの場所には彼は留まっていない様子なのだ。違った技術が現れるとすぐにそこに飛んで行って吸収しようとする。われわれが彼を知ったのも、第一号の「何もしない超能力者細井氏」に若山さんが会いに行ったのが契機なのだから、この情報が出る頃には、さらなるレベルアップがされているのではないか、そして数年後にはその技術をまた公開してくれるのではないかと思っている。

<若山敏広 超念力マスター法のビデオ解説へ>


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