[ふしけんアーカイヴス:特別取材記]

フィリピン心霊治療

森田 健


●調査日程


1997.9.5 マニラにてアレックス・オルビート氏の治療を受ける。
1997.9.6 マニラにてオルビート氏の治療と、女性のニーベスさんの治療を受ける
1997.9.7 バギオにてホセ・セゴンド氏、プラシド・パリタヤン氏、ジャミー・プリット氏の治療を受ける。
1997.9.8 バギオにてセデリーノ・アピン氏の治療を受ける。
1997.9.9 マニラにてニーベスさんの治療を受ける。

●被験者


日本から患者男性二名、女性五名と私。



    バギオ空港に降り立った私

●写真撮影


アレックス・オルビート氏は写真撮影はOKだったが、ビデオの撮影が許されなかった。他のヒーラーはビデオ・カメラともに可能だった。
このコーナーに写っている写真は、すべて私が非験者となって撮影したものである。


●実際の治療の流れ


○治療に入る前に必ず手を洗う(あたり前か・・・)
○綿を引きちぎって左手に持つヒーラーがいた
○半袖のヒーラーが多いので、そこに何かを隠す確率は低そう・・。
○患者の患部に手を持ってくるとき、5本の指と指をくっつけているヒーラーが多く、そこに何かを隠している可能性もあるが、指を開いているヒーラーもいるので、いちがいにそうとも言いきれない。
○手を患部に当ててからモミモミすると10秒ほどで血がドクドクと出てくる。それまでの間、患部を比較的強く押すので痛く感じる。血の温度は本物とそっくりだった。
○血が出ている間は、ヒーラーは指を閉じたままなので、全容を見ることができない。この状態になると痛みは感じない。
○血のほかに出る物はレバー状の塊か小海老のような2〜3センチの白い塊が多い。それらは水の中に捨てられたあと、たいてい数分で溶けてしまう。綿を使うヒーラーの場合は、綿にレバー状の塊が付いて出てくることも多い。
○患部に手を当てているとき、パチンという音がして、次の瞬間、指が患部深くめりこんでいるように見える場合が多い。この時、同時に血も流出する。この現象を起こしたのは、オルビート氏、ニーベスさん、ホセ氏の三人である。
○治療が終わると患部に切り傷は存在していない。
○ここまでの時間は3分程度である。私は前もって心の準備をしておいたが、最初に血が吹き出して、さらにレバー状のものが取り出された時にはさすがに驚いた。ヒーラー(オルビート氏)はリラックス、リラックスと言って私を落ちつかせた。


●私が本で読んだ否定派側の言い分と肯定派側の言い分



否定派


○出たものを調べると豚の肉だったりトリの血だったりする場合があり、よって明らかにニセモノである。
○水と反応させることによって赤い液体を作ることは可能であり、血はトリックである。


肯定派


○豚やトリの臓物どころではなく、体からヤシの木の葉が出てくる場合もある。二メートルもあるヤシの葉をどうやって隠すと言うのだ。これは物質化現象である。悪いエネルギーを何らかの物質に変えているのだ。豚やトリの臓物だといってトリックとは限らない。だからこそ術後に傷は残らない。


●私の感想


○ヒーラーの指がどう見てもほとんど患者の体内に挿入されているように見える。ビデオで再生しても同じように見えるので、集団催眠ではなさそうだ。
○トリックにしては血(水分)の量が多すぎる。また、指を挿入した瞬間には上部に向かって噴水のように吹き出す。さらにそのあと、だらだらと多量に流出する。あれだけの血を持つためには、相当な容器が必要かと思う。また、流れ出す血の温度が低くないのだ。私はバイク事故で随分と血の流出は経験しているのが、あの温度の感覚と同じだった。試しに掌に水を乗せて時間をおいて暖め、それを腹部にたらしても、冷たいという感覚しか感じない。トリックだとすればあの血の温度はどうやったのだろう。
○ヒーラーによっては、後ろに立って見ることも許してくれる。この場合、前後左右360度から見ることができ、この状態でのトリックは非常に難しいはずだ。
○彼らはろくに手を洗わないで手術を始める。プラシド氏などは職業が自動車修理工なので、車の下にもぐっていた手をちょっと洗っただけで始めた。それでもいまだかつて、誰一人として感染症にかかったり、膿んだりしない。さらに傷口がまったく残らない。つまり私の仮説としては、幹部を切ってはいないのではないか。






●私の仮説


この世の中を縦横高さと時間の四次元だとすれば、もう一つの空間次元である五次元を使っているのではないか。つまり患部の部分のみの空間を五次元方向に少し回転させて、中と外を入れ換えているのだ。「外側」になった「体内」からは血液が流れだし、その間に悪い血液の塊を取り出す。取り出した塊が血液だと思ったのは、すぐに水に溶けてしまうことと、女性の患者から「あれは生理のときのものに似ている」と言った証言が聞けたことだ。
ヒーラーは血液の流出が止まる前に逆回転させ、ばい菌の流入を防ぐ。
一応、これが現時点での私の仮説だ。しかし、文献にあるようにヤシの葉を出すような
現象はどうやって説明するのか、また豚の肉やトリの血液はどうやってテレポーテーションさせるのか、ろくに洗わない手でどうしてばい菌が入らないのか、未解決な問題は多い。


●体重計による実験


現地で買ったアナログ体重計を使い、治療前と治療後の体重の変化を計った。カメラを固定し、定位置から私を含め三人の体重を測定した。ヒーラーはニーベスさん。目的は、体内から血液や臓物を取り出しているなら体重が減っているはずだということを証明するため。一説には物質化現象だと言われているので。とにかく、普通のアナログ体重計で数グラムの変化を読みとるという困難さの為だろうか、変化は無いように見えた。

●ビーチボールによる実験


ビーチボールにビーズ玉を入れていつも持ち歩いていた。そして治療が終わると「おなじことはビーチボールにだってできるでしょう? この中に小石が入っているので同じように出して下さい」と頼んだ。しかし「これは生き物ではないのでヒーリング行為(治療行為)はできない」と言って、全員から断られてしまった。


●私のこれからの調査


収録したビデオを西洋医学の医者とプロのマジシャン向けにネタ本を書いている人に送ってみようと思う。また科学者にも見せてみようと思う。
さらにCDにエネルギーを封印出きる人にヒーラーを会わせて、ヒーラーのエネルギーをCDにコピーしようかと思う。
また近いうちにフィリピンにはもう一度行こうかと思っている。その際にどうすれば解明できるかをよく考えたいと思う。
ここまではフィリピン帰国の翌日に書いたものだ。


その後の経過


●科学者集団での検討


福来心理学研究所で心霊治療の発表をしたところ、次のような意見が出た。
○小型発信器を体に入れてもらったらどうか。
しかし私が調べたところ、発信器は超小型のものでも4cm×3cm×2cmもあり、腹部に入れるにはすこし大きい。これは電池が必要だからだ。従ってヒーラーに拒否される可能性が高い。
しかし、入れてもらっても問題は残る。電波は三次元の空間から外に出ることができないし、外からも入れない。従って手術が高次元の出来事ならば、電波は体外で受信できないことになる。これでは入っていることの証明にならない。さらに発信器が高次元の空間に入っているなら、レントゲンにも写らないはずだ。
○ばい菌が入らないのはばい菌の「次元」が低いからではないか
高次元を使って手術をしたとすれば、もしもばい菌の次元が低ければ、入れないかも知れない。通常の外科手術でばい菌が入るのは、三次元での手術だからであろうと言っていた。
私はこの意見はなかなか面白いと思う。
○ヒーラーを説得して協力を要請する
森田さんの五次元の考え方を力説して、とにかく科学的実験に協力してくれるように、外交的努力をするのが近道だ。
私も同感だが、五次元の科学を理解してくれる人は日本でも以外に少ないのだ。W大学のO教授からは「そんな次元があれば私は教授をやめる」とまで言われた。


●福来心理学研究所に行った翌日に私が思いついた事


○糸の先にボタンのようなものを結び付け、これを体に挿入してもらう。
この作業なら比較的簡単なので協力してもらえるかも知れない。
通常ヒーラーが体から指を抜くと同時に傷口もふさがる。しかし糸があるのでその部分は閉じることができない。もしも高次元の手術をしているなら、その糸の部分は五次元との接触点に当たるわけだ。従って、三次元的には痛くもかゆくもないはずだ。 そして、ヒーラーではなく、私自身がおもむろに糸を引き抜く。するとボタンがスルリと出てきて、その瞬間に傷口はふさがるはずだ。この実験は、ヒーラーではなく私自身がやるというところがミソである。一歩再現性に近づくのだから。
たとえば、何個も入れてもらい、テレビカメラの前でポコポコと引き抜けば良いのだ。ボタンとは言わず、ビーチボールだって可能なはずだ。だって、別の空間に入っていくのだから。(しかしこれは可能だろうか? 本当に心霊治療は高次元が原因なのだろうか そうなら、なぜいままでこういったテストがされなかったのだろう)


●形成外科医のS先生の見解

(以下、先生からきたFAXを原文のまま載せます)
前略 御無沙汰しております。
先日送っていただきましたビデオと写真を拝見して私としての見解を述べさせていただきたいと思います。
まずこの心霊手術の真偽は、はっきり申し上げて“偽”であり明らかなトリックであると自信をもって断言いたします。私もマジックには大変興味があるため自らもミスターマリックの師匠でもあり日本におけるマジックの第一人者のTM氏に指導をうけました。
そこで全くの素人の方よりトリックに関してはよくわかるのではと思います。
術者の手の動きは明らかに不自然でありよくみると親指と人差指をいつもくっつけながら腹の上へ手を持ってくるためこの間に“何か”を隠し持っていると推測できます。またマジシャンの間でパームと呼ばれる手法で手のひらに何かを隠し持っているのがわかります。この程度のレベルの低いマジックであれば私の知り合いのマジシャンなら誰でもできると思いますが・・・
次に医師としてのコメントを述べてみたいと思います。
まず、血のように見えるもの?は血液ではないでしょう。もし血液とすると静脈血と考えられますが血液としての粘液性が実際よりかなり低いことがヴィデオから分かります。
臓器のように見える物は明らかに人体に存在するものではありません。手の動きが腹内に入っているようにはとても見えませんし、何かを掴む動作が大変不自然です。
その証拠に腹上で単に手を動かし擦った皮膚への刺激痕が残っています。もし、本当に腹内に手が入っているならこのような痕は絶対に残りません。
以上ほかにも不自然な点、医学的に考えられないような点がありますが、私はこのヴィデオを見て心霊手術が、とんでもないインチキであると確信いたしました。このようなインチキが病で悩む患者の心を惑わすことに対して強い憤りを感じます。
森田所長が言われるように次元の違いに関することなら、彼等は切断された指でももとどうりにできるはずですが・・・
今回は、自信を持ってコメントさせていただきました。
草々

●翌日このS先生から電話がきた


○S先生のところに透視のできる看護婦がいるが、彼女にヒーラーの心を透視してもらったところ、彼らの心には罪悪感というものをみじんも感じない。つまり善意の心のようなものでトリックをしてしまっているのではないかということだった。つまり相手の病気が良くなり、自分にもお金が入ればなにしてもかまわないといったような・・・。
○血を採取して分析は可能かと聞いたら、近くの医者に行って「く塩酸ナトリウム」の入った「スピッツ」というものをもらってくると良いと言われた。タダでくれるでしょうということだ。これがあれば血液が凝固しないらしい。時間がたつとカリトウ値は変化するが、他の成分はそのまま保持されるということだった。
○私が計画している発信器の埋め込みを言ったら「それはやらないでしょう。もしできたら革命的なことです」と言っていた。発信器の証明方法は、相手さえそれをやってくれれば良い方法かも知れない。


●プロのマジシャン向けにネタ本を書いている I 氏の見解


○マジックにはパーム技法というやり方がある。これは掌をうまく使ってマジックをする技法のことで、それを使っている可能性が大きい。
○血を使ったトリックは珍しいが、腕に剣を刺して血を流すというのを知っている。そのトリックと非常に似ているのではないか。それは血に変化するものを手の中に握っているのであり、詳しいことが分かったらまたお知らせする。
○左手の動きが非常に怪しい。なぜ掌を見せないのか? また助手も怪しい動きをしている。
○指が入るように見えるが、少し練習すれば曲げることで可能だ。


●超能力評論家YY氏の見解


お手紙ありがとうございます。
 −−中略−−
 今回、私に送られたビデオは絶対に販売しないで下さい。私のビデオファイルにも入れる価値がないもので・・・。こんな撮影に金を使うなら、もっとホンモノの現象に使って下さい。私なら勧めるどころか、絶対にムダな金は使わせなかった。
 鳩を出す手品をご存知と思います。鳩はマジシャンの一番取りだしやすい服の部分に隠されています。レバーも鳩も同じです。レバーを捨てるとき、別のレバーを取るのは単なるテクニック。
 フィリピンマジック→低レベルマジック。初歩中の初歩の手品です。
○スロービデオで見ると、指の第二関節がクランケの体に入ってなく、タダ内側に曲げているだけです。
○すべて両手の作業。片手に動物のレバーを持ち、片手でそれを握ったり、潰したりしているだけです。
○レバーを隠している所は医者側のベッドの枠、洗面器、ガーゼ、タオル、頭髪、ブラジャーです。
○クランケの腹、みぞおち、頭部を連続して治療をするのを見て、これはアヤシイと思わなかったのですか? ただ、ごまかすだけの行為で何の意味もない。


●フィリピンに10回も行ったことのあるN氏を訪ねた


 N氏のビデオは迫力があった。ヒーラーが取り出す肉塊が直径10センチはあるだろう。ヒーラーは手を体内に入れている風には見えない。が、しかし皮膚の上に手を持っていくと、肉塊が「ブワッ」という感じて出現する。その血のしたたった肉塊を持ち上げると、ちょっとサッカーボールの大きさくらいになっている。
 かと思うと、ヒーラーは全盲の女性の目をいきなり取りだした。目の玉には神経繊維と思われる糸のようなものが5センチほどぶらさがっている。目は、このように取りだし可能だったのか? ヒーラーは目を洗面器で洗うと、また元に戻した。そして電気を消し、ローソク一本の明かりにすると「見えますか?」と聞いた。患者は「光が見える」と言ってローソクの動く方向を指で追うではないか。もちろん、さっき取りだした目の玉はちゃんとローソクの動きを追っていた。ちゃんと神経はつながったのだ。
 左の耳から綿を入れて、右の耳から取り出すというのも見た。耳が頭の中で通じているとは思われないので、別の空間を通っているのだろう。


●発信器が到着


 大きさは親指の半分くらいなので、思ったよりも小さかった。これなら体内に入れてもらえるかも知れない。綿に縛り付けて頭の中に入れてもらっても良い。そして右の耳から出すまでの間、電波は届くのだろうか? 発信器にはマイクも付いている。もしも電波が届くのならば、頭に向かって話しかければ、その声は受信器でキャッチできるだろうか?
 次のフィリピン旅行までに調査方法をいろいろ考えたい。

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