[ふしけんアーカイヴス:特別取材記]

CDにエネルギーを封入する
山岸 隆

森田 健



 取材に伺った日は山岸さんはちょっとお疲れ気味。前日、関西方面のお仕事があり、この取材のために、夜遅くに車を走らせて帰られたとのこと。「疲労回復には超能力のCDを聴くんですよね?」の質問に、「私は肩こりがひどくて、CDを聴いて治るという段階じゃないんです。度を越えているので、病院で、針を打ってもらっているんですよ」という回答。なんだか、「当たり前です。そのためのCDじゃないですか!」 と言われるより、真実味があった。髭を蓄えた顔は優しそう、そして、かなりのチェーンスモーカー。タバコの煙の中から響く笑い声も暖かく、こちらの緊張をほぐしてくれる。“近寄りがたい人”“すばらしい能力を持った雲の上の人”ではなく、1949年生まれ、46歳の優しいお父さんといった印象だった。そんな中、私の矢継ぎ早の質問にも快く答えていただいた。

超能力の出現

 今から、10年前、山岸さんは、指先に異変を感じた。朝起きて両手の指先を何の気なしに近づけるとピリピリとしびれる感じがし、離すとしびれは止まる。そして、良くみると両手は紫色に変色し、まるでチアノーゼ(皮膚がうっ血のため紫色や青黒く見えること)を起こした時のようになっていた。その頃、薬剤師だった山岸さんは超能力や霊能力というものをまったく信じることなく、むしろ否定的でさえあったそうだが、この現象を見た超能力好きの知人に、もしかすると、超能力が発祥したのかもしれない。タバコの味を変えてみたらと言われ、半信半疑のまま、タバコに手を近づけ、しばらく、そのままにしていた。そして、そのタバコを吸ってみると、まるでタバコの味がする空気を吸っているようなそんな感じがしたそうだ。山岸さんが自分の超能力に気がついたのは、この時が初めてで、自分自身に超能力が発祥してしまったのだから、超能力なるものを否定できなくなってしまったと言う。
 しかし、初めは、その力もわずかにタバコや食品の味を変えるのがせいいっぱいで、肩こりを浄化することさえ出来なかった。それからの山岸さんは自分の持っている力をひとつひとつ手探りで研究し始めた。
 まずは家族の肩こりや何をやってもなかなか直らない病気の人に試したり、お化け屋敷のおばけを退治したりとさまざまな状況にその力を用い効果のほどを調べてみた。そして、わかったことは、固定した能力ではなく、使い続け、工夫を凝らすことによって、効果を上げることが出来る、つまり能力の使い方に慣れてくれば、幅も広がり、能力も向上する、常に変化をし続けるものなのだということに気がついたそうだ。

特定の箇所にエネルギーが送る

 さらに進むとイメージしたところにエネルギーを送ることも出来るようになった。たとえば、脊椎に歪みのある人にエネルギーを出す時には、脊椎が伸びるようにイメージする。すると、実際に歪みが取れ、身長も伸び、それに付随していた悪いところも一緒に直ってしまうと言う。自分の送りたいところへ送れるのだ。

物にエネルギーを封入

 また、ある時、知人から、知り合いの病気見舞いにラジオを持って行きたいんだが、いっしょに選んで欲しいと言われ、どうせなら、ラジオを聴いている間はエネルギーが出るようにして、少しでも病気が良くなればと思い、エネルギーを封入することを試みてみた。物にエネルギーを封入することは、初めての試みだったせいか、イメージを間違えて、ラジオ自体にエネルギーを入れてしまった。そのため、年がら年中、エネルギーを浴びる形になってしまい、これではいけないとイメージを変え、聴いている時だけ、エネルギーを受けられるように改善した。これは大成功で、物にエネルギーを封入する場合、イメージをはっきり持って、効果が最大限に出るように念じること。そうすれば、エネルギーは意志通りに働いてくれることがわかったと言う。しかし、いろいろな形でエネルギーを使ってもよいが、悪意を持ってエネルギーを使った時には、その意志には、絶対と言っていいほど従ってくれないと言うのも事実だそうだ。それに、願い事は叶ったり、叶わなかったりする。これは、エネルギーにも、意志があると考えたほうが妥当だと言う。
 後にカセットテープやCDなどにエネルギーを封入する形になるが、そのテープやCDが回っている間はエネルギーは放出されていることになる。
 つまり、テープやCDの中味が問題ではないのだ。ちなみに、入っている曲はどれも同じ。だとすると、テープやCDをダビングしても意味がない。そのテープやCDが必要であり、音は消してあってもいっこうにかまわないのだ。ただし、これが、山岸さん本人が話しているカセットテープとなると話は別なのだからおもしろい。山岸さんが話している間、ずっとエネルギーは出続けているわけで、そのエネルギーをキャッチしたカセットテープは何回ダビングしてもそれぞれにエネルギーが入ることになる。

コーヒーの味を紅茶に変える

 山岸さんが喫茶店に入ると、隣の席に4、5人の女性。コーヒーを飲みながらの話声がなんとも大きい。そこで、ちょっとコーヒーの味を紅茶に変えてしまおう、とエネルキーを送ると… なんとそこにいた女性全員がきつねに摘まれたような顔。ひとしきりコーヒーの味を話題にして、それから、不信気な顔のまま、そそくさと喫茶店から去って行った。彼女たちは不思議な体験を知らない間にしてしまったのだ。このコーヒーを紅茶の味に変えてしまうことは取材に伺った時、体験させて頂いているので確かである。山岸さんは何をするわけでもない。最近やってないから出来るかなぁと言いつつ、腕を組むと一瞬コーヒーを見つめただけ。本当はこんなこともしなくてよいのだが、ちょっとポーズをとって、「はい、変わっていると思います。」と言った。「えっ、もう変わったんですか?」飲んでみると、確かに、コーヒー特有の香りが消え、渋みがちょっと出た紅茶の味に変わっていた。しかも、変われと念じたのはただ一ヶ所のコーヒーだけ。他のカップのコーヒーは変わっていなかった。ついに体験してしまったという気分だった。これはいくつも可能性が考えられるのだが、舌に味らいと言うのがあって、そこの感覚を変えているか、もしくは、大脳の中で伝達されて理解する時に変わるのかもしれない。喫茶店の女性達のように、ぜんぜん関係のないひと、ここにいない人に変わったと判れば、それは何かエネルギーとして残っているのか、または、物性が変わったと考えられるのではないかとのことだった。幾らでも理由は考えられる。しかし、疑問は疑問でそのまま受け入れ、次の世代の人々が解明してくれればよいとアッサリ言う山岸さんは、やはり普通の超能力者(ここではマスコミによく出てくる超能力者と言われている人たち)とは違っていた。

TDI設立

 このようなすばらしい力を他の人にも分け与えられないかと考え、実験してみると、何がどう伝わったかわからないが伝授出来ることがわかったと言う。現在では、直接山岸さんが超能力を伝えるという方法だけでなく、最低20分程聴くだけで、その後、充分に使える程度の超能力を誰でも持つことが出来るという、山岸さん自身がエネルギーを封入したCDも開発された。特殊な素養を必要とするのではなく、年齢、性別、人種、知能指数、経験も一切いらない。人間の脳には、生まれながらにして超能力を司る部分があるが、開いていない状態になっている。だから、このCDで大脳の眠っている部分に刺激を与えて回路を開くこと、それが超能力を伝授すると言うことなのだそうだ。
 そして、自分の能力を人に伝えることが出来るなら、仲間を作ることも出来る。開発をした能力を他の人にも体験してもらうことで、より発展するのではないか。そう考えた山岸さんは、まず、自分自身の能力を常に研究するためのTDI(Transcendental Institute:和訳すれば、超自然的な協会、つまり超能力協会)を設立。続いて、山岸さんの能力を基にそれを研鑚していこうという会員組織の会、パーフェクトハーモニー研鑚会を設立。現在、定期的に講演会を開催し、会員もいろいろな能力を体験をしている。さらに、その後、この超能力を応用した製品を扱う(株)パーフェクトハーモニーも設立し、そのエネルギー技術は今では、シール、金属、プラスティック、セラミック、オーディオテープ、CD、ビデオテープ、レーザーディスク、フォトCDなどに用いられ、数多くのものに封入されている。誰でもが使い、その効果を体験できるエネルギーとして。
 この三者で、お互いに牽制しあい、超能力開発が正常な発展を遂げることが出来るようにしたのだと言う。これは、山岸さんが当初から言っていたように、超能力を一部の人間だけのものとせず、多くの人が持てるような当たり前の能力となった時、この超能力の真価が発揮されるのだ言う考えを反映している。これで、この超能力は誰にでも持つことが出来る能力になったのだ。
 この進歩によって、山岸さんが常にそばにいなくても治療を受けられると言う方法が確立した。治療の内容によっても細かく分かれているCDがたくさん作られ、多くの良い実績を積み重ねていっている。ただし、パーフェクトハーモニー研鑚会の会員のみの販売である。

山岸さんの超能力

 さあ、あなたにも超能力が使えます。と言われても普通の人では、あのスプーンまげの人や神がかりな言動をしたりすることのほうが、頭にすぐ浮かんでしまう。しかし、それは単に興味をひくだけであって、人の役には立たない。大切なことは、スプーンをまげたり、ドラマチックなことが出来るようになることではなく、本来の意味において、人々に役に立つことが出来ると言うことなのだ、と山岸さんは力説する。 人間は自分の体験したことのない世界、知らない世界からは一歩も外に出ることは出来ない。自分の世界の殻を破るような新しい考え方や現象が起きるから世の中が発展する。物理学でもなんでもそうだと思う。能力を持ったら今までの常識を破り、いろいろ違う世界があるんだということを知ってもらうことが大切。そして、こんなこともやってみようこんなことも出来るのでは、という人がたくさん現れることに私の存在意義があるのだと思う。特殊な能力というのはそう言うことで価値があるんではないか。私が何が出来るかが問題ではなくて、人が何か違った現象を起こすことが出来る、違った価値観が持てるということが、特殊な能力の一番大事なことだと思う。そのためには、その人だけが出来ると言うのではだめなのだ。ある程度の数の人が出来てしまわなくては。だいたい基本的には現代の物理学からして、CDにエネルギーを封入出来るとか、CDを窓に出来る、スイッチに出来る、そんな事は非科学的だと言った人がいたが、彼の方が非科学的なのだ。科学が絶対だと思っているからおかしいんで、実際に自然現象の方が先にあったのだから。私たちは常識の世界を破る、そのための試金石になっているのだ。だから、試金石はきちんとしなくては、と語ってくれた。
 そして、現在、CDやCDをはるかに越えた圧倒的なエネルギーを出すフォトCDを使って、治療をしている病院を一つ紹介してくれた。
 大阪のH医院では、病院内のいたるところにCDを流している。効果は上々とのこと。山岸さんの知り合いの医師の間でもこの治療法に興味を持っている人は多いとか。ちなみに、学者、医師の方もたくさん会員になっていられるのを見てもわかることだ。

病院でも治療に使用のCD

 さっそく、大阪のH病院に取材を申し込むとT院長はすぐにOKを出してくださった。新大阪の駅から車で15分。病院は大通り沿いにあり、大きな看板がすぐ目に入る6階建ての建物。待ち合い室もゆったりとってあって、気持ちがよい。通された医局には、大きなテレビがあり、そこにはフォトCDが懸けられていた。そして、ここから病院内のあらゆるところに流しているのだと言う。また、部分的にCDを流しているところもある。CD自体からエネルギーが出ているので、音楽の有無は関係無い。普通の人は気がつかないで、知らない間にプラスのエネルギーを浴びているのだ。そして、サーモグラフィや脳波などを効果判定の一助として用い、客観的データをとおして効果を確認しているのだ。CDやフォトCDを使い始めてから、変わったことは、の質問に。それは、経営状態がより良くなってきていることだと言う。病院を何で評価するかと言うと経営状態で見るのが一番早いのではないか。それが良いということは医療の内容が充実し、対外的にも人間関係がうまくいき、トータルで良い状態にあるということだからと言う。最近、大学病院とのルートも出来、医療体制も良いほうに確立された。お互いの利点をうまく生かし、現代の医療にあった治療が出来るようになったのだ。この病院に来る人はこのシステムを知ってて来ているのか、の質問に。知らせてない。TDIの紹介で来ている人は知っているが、やはり初めからの説明がいらないだけ、そういう人はやりやすい、という回答だった。
 T先生自身もCDを使って、自らの能力を磨き、情報の整理整頓が早くなったと言う。たとえば、歩けない人の情報を即、汲み取り、その人に針を一本刺しただけで、瞬時に歩けるようにしてしまった、ということもあった。痛みを治す力は去年くらいからグッと上がったような気がすると言う。
 末期ガンの患者が来た時は、ガンだから治すというのはともかく、少しでも楽になってもらえればと、漢方とTDIの気功で治療することにした。TDIの気功は、スタッフができない時は、ご主人がそれ用のCDを聞きながら、自宅で妻である患者さんにやってあげることができるのだ。超能力を持った人が、そばにいなくても、その代わりをCDを聴いた人が家族に出来るというのはとてもよいことだと思う。ガン患者はガンそのものの進行を止めることはできずに死亡したが、自覚症状的には周囲が驚くほど好転したこともあったし、全経過を通じてQOL(クォリティー・オブ・ライフ)の面では、一般の患者と比べ、かなり良好なものであったと話してくれた。機械や薬に頼るばかりでない治療。これが現代治療と言うのかも知れない。
 この病院で何時間か過ごした後、何故かわからないが、心にゆとりが出来たような気がしたのは、やはり、エネルギーを浴びたせいなのだろうか。この病院自体、プラスのエネルギーが充満していて、時がゆっくり流れているようだった。

ここで、編集部員が疑問に思ったエネルギーのなぜ?を山岸さんに伺った。

エレルギーのなぜ?
  1. エネルギーを無線で送ることはほとんど無理なのにもかかわらず、至近距離、遠距離でも、それが送れるというのは不思議である。
  2. なぜあれだけのエネルギーが出続けるのか。5年前に買ったパネルも、気を感じる人に見てもらうとまだまだエネルギーが出ているとのこと。エネルギーをこれほど長く封入できるのは不思議だと思うがなぜ。
  3. ある場所、ある箇所だけにエネルギーを送ることが出来るのはなぜか。また、部分的に治療するCDが出ているが、その部分だけに行くのはなぜ。普通はそこに至る箇所にも影響を与えてしまうはずだ。
  4. 離れている人、しかも知らない人にアクセス出来るのはなぜ。その人の健康状態までわかってしまうのはどうして。
  5. TDIを悪用する人が出てくるのではないか。たとえば、ヘントウタイを刺激して目の前の人を好きにさせてしまうということが出来るのなら、国中の人を一瞬にして、洗脳して、他の国を攻撃目標にすることは可能だと思うが。これは超能力使用のマイナス面として。


回答は
  1. 物理的なエネルギーを無線で送ることは出来ないということであって、ここで使っているエネルギーは送れるんです。95年10月10日のNHKラジオに出演した時のこと、軟その法のCDをかけたところ、ラジオを聞いていた人は眠くなったと言う。病院で実際に測ったところ脳波からアルファ派が出ていることが確認されているんです。これはエネルギーが送れているという証明ではないですか。
  2. エネルギーが出続けるということは、私は私自身のエネルギーは使っていないと思うんです。だから、現地調達して、どこかのエネルギーを利用しているのかもしれない、ただ、エネルギーを送っている時、私自身も体が熱くなってくるので、ひょっとすると私自身からも出ているのかもしれませんね。エネルギーが見える人に言わせると、確かに何かが、私の体から出てくると言っています。そして、遠距離に送る時はスッと消えてしまい、目的の物のそばから、またパッと現れてくるそうです。エネルギーの見えない私としてはどちらがどうだか解明は出来ないですが…。
  3. 局所にエネルギーを送れるというのは私にはわかりませんね、どうしてなのか。自分でここに送りたいと思ったところへ送れるというだけのこと。そこに至るまではどこにも損傷を与えずに送れる。ただ、どういう経路を通っていっているのかはわからないですが、エネルギーを送ることが出来るんです。
  4. 離れている人にそのままエネルギーを送れてしまう。離れている人の情報、エネルギーの状態を得ようとすると、それが得られるんです。どういう仕組みになっているのかわからないでやっているという状況なんです。
  5. あれは、大脳に問題のある人に電極に針を差し込んだ時そういうことが起こるということで、実際にエネルギーで出来たら、気持ちが悪いので、止めておこうということになったんです。でも、どこまで、出来るか知らないが充分可能なことだと思いますよ。


 続いて、こう言ったことに仮説を言ってくる人はいないんですか?との質問に、たくさん言ってきますよ、会員の中にも学者がいますから、そういった方にも考えていただくチャンスがあるのでは、との回答。ご本人は、この超能力を自然に受け入れている。

森田が考えている空間四次元についての考えについては
 四次元はたぶんあるんじゃないですか。なければ起きないようなことがたくさんあるじゃないですか。あって当然のもの。ないと考えることのほうがとても難しいと思いますよ。あるとか、ないとかは、測定できるからとか、わかるからとかいうものではなくて、実際に現象が起きるんですから、それは、たとえ仮説であって正しいことだと思いますよ。あっていいし、また、なきゃおかしいし、今までの私たちの体験で、あまり、目に見えることだけに拘らないほうがいいかもしれないなという気がしますね。そういうことで、四次元の使い方がうまくなれば、もっといろいろなことが出来るようになると思います。
 昔は全体的なエネルギーが多かったけれど、それは、周波数が粗いエネルギーだったため、情報を乗せることが難しかっただけで、最近は、私の能力が向上し、出せるエネルギーの周波数が高くなってきたので、より細かい情報を入れることが出来るようになったんです。だから、いろいろなことが出来るようになり、かつて、ああしたい、こうしたいと思っても出来なかったことが、何ヶ月か経つと、パッと出来るようになったりするんです。それはたぶん周波数が変わるからだと思いますね。あとは、慣れで、能力を持った瞬間に何でも出来るというものでもなく、体験をたくさん積んでいかないと、使い方はわからないんだと思いますよ。

 しかし、山岸さんにもどういう経路を通って、このエネルギーが送られているのかわからないと言う。ただ、送れているという事実があるだけである。

これからの課題

 山岸さんが、これからやったらおもしろいなと思っていることに、能力を持った人が自分のイメージをCD化することがある。病気でここが痛い、喘息で苦しい、そういったものは他の人には伝わらない。表現出来ないが、ワクチンシリーズの花粉症、気管支喘息、眼精疲労のひどい人にCDに入れてもらうと、その人がどれほど苦しんでいるのか山岸さんはわかる。感じることが出来る。それに対してワクチンを作る。それの応用で、ドクターが患者の痛みを疑似体験できたら、もっと医学は進むと思うんだがと言う。確かに病院に行って、自分の症状を先生に話すのは難しい。痛みだって、シクシクやチクチクや鈍い痛みなど表現が出来ないものもたくさんある。これが自分の症状をすぐCD化して病院に持って行けば治療方法がわかるとなればありがたい。先生はたいへんかもしれないが。
 そのうちCDラブレターが出来て、どれほど私はあなたが好きか、どんなふうに好きかをCDに封入することが出来て、それを聞いた相手が、ああこんなにもと思うか、なんだこれくらいかと思うか知らないが、そういうことができるようになったら、今ある言語で苦労している状態が、イメージとしてもっと正確に言語を伝えることが出来るんではないかと言う。これは、今あるイジメの問題にも関われるのではないかと思った。イジメにあって、これほどの痛手を受けているんだ、これほど苦しんでいるんだという気持ちを相手に伝えることが出来たら、同じ痛みを味わったら、そして、判ってもらえたら、イジメの問題解消に一歩近づくのではないだろうか。

森田の見解

 山岸さんは、超能力をテープやCDに封じ込め、それを回せば超能力がコピーされる方法を思いついた。  数ある超能力者の中でも、これを最初にやったのは彼ではないか。もし、超能力の世界にもノーベル賞があれば、まさに彼はその授賞者にふさわしい。
 ユリゲラーさんも確かにすごいかも知れない。しかし、彼が被険者に向かって、リアルタイムに能力を発揮している時しか通用しない。彼が休息を取っている時には、超能力も休息を取っている。
 しかし、山岸さんの方法は違う。彼が寝ている間も、テープやCDが休みなく能力を発揮し続けている。山岸さんをコピーしたようなものなのだ。
 さらに、テープやCDは単価がめちゃくちゃ安い。最近私の会社でもパソコン用のCD−ROM(コンピュータの部品の総合データベース)を作ったが、単価は一枚1000円程であった。山岸さんは、それらのCDの在庫に向かって「エイッ」とやるだけなのである。その時間たるやおそらく0.1秒だろう。彼の年収から0.1秒という人件費を逆算しても1円くらいだと思う。つまり1枚1001円でできてしまうのだ。
 勿論、このほかに諸々の経費がかかることはわかる。そういう経費を積み重ねていくと、今の小売り価格になるのもわかる。
 しかし、基本的には超能力の大量生産を第一歩を踏み出しているのだ。めちゃくちゃ売れれば、価格はどんどん安くなるに違いない。
 さて、大量生産はそれだけのメリットではない。封じ込まれた能力が均一化し、再現性を高める事である。
 あのときはできたが、きょうは調子が悪くてスプーンが曲がらない・・・では困る世界があるのだ。医療や科学の実験の世界では、スイッチを入れたら、絶対にマニュアル通りに動いてくれる信頼性が必要とされる。
 山岸さんは大量生産を通じて、この信頼性にも応えた。
 さあ、あとはどんどん使って、どんどん検証し、世界の発展に寄与しよう。
 しかし、である。私は一つだけ不満がある。それはTDIと称する会には工学部の機能はあっても、理学部の機能がないと思うのだ。
 工学部は、発見された科学理論を具体的に役立つものに変えていく。理学部は科学理論そのものを検証し、発展させる。TDIの会には前者しかないと思うのだ。
 新しい超能力CDはどんどんできてくる。それはそうだ。中に入っている曲はまったく同じなのだから山岸さんの「エイッ」の入れ方を変え、パッケージを変えれば良いのだから。
 山岸さんをはじめ、会報等に登場する会員の方々も、この能力が「何故起こるのか」を解明しようとしないし、むしろ、解明しなくても良いのだと言っているところがある。
 ニュートンの逸話でいけば、新しいリンゴは落ち始めたのである。そこに新しい理論を発見する糸口は、会員が3,000人もいれば可能な気がする。
 理学部の機能は売上には貢献しない。だから、会員がその想像力を持ち合い、議論の発端を作ったらどうか。その議論の展開は、意外な発見につながっていくような気がする。
 さて、山岸さんは、私の仮説に貢献してくれた。
 超エネルギー第二法則「四次元エネルギーはプログラムできる」・・私の四次元仮説の第二段である。山岸さんはCDが回転している間だけ出ろとか、疲れている時にだけロードしてこいといったプログラムをエネルギーに対して行った。三次元の科学法則ではこういう事は有り得ない。方程式は一つしか存在しないのが科学の世界であり、それを早く発見するとノベール賞をもらえるのだ。つまり世界は客観的なものなのだ。しかし、プログラムできる世界は主観的なものだ。主人公は外の世界にあるのではなく、自分自身の中にである。
 もし、未来においてこれが科学的に説明できれば、何とすてきな世界だろう。物理に時間に「あなたの好きな方程式を書きなさい。それがあなたの使える式になるのです」と教えるに違いない。その時は、光速に束縛されてしまう相対性原理を代表とする方程式など、誰も使わないかも知れない。

 実は、この原稿を山岸さんのところに持っていき、意見を聞いた。その時のやりとりをそのまま記事にした。

山岸:工学部の機能があって理学部の機能がないというのはどういうことですか?

森田:私の5年間の会員生活で、なぜという事に対する好奇心が満たされなかったからです。

山岸:これ、よくわからないな。もうちょっと説明して下さい。

森田:会員組織を持っているメリットとしては、価値観の違う人がいるという事ですよね。それをうまく使ったら「なぜ」を解明できるのではないでしょうか?

山岸:基本的になぜという事を追求すると、はずれてしまうからやらないのです。わざわざやらないのです。我々が知っている程度の知識で考えるのではなく、それを積み重ねていく事が大切なのです。それを積み重ねて、こういうものだということがわかった時点でなぜを考えれば良いと思う。それをやらないで考えてしまうと、それまでの価値観で結論を出してしまう。だから我々は絶対それをしないで積み上げていくのです。

森田:もちろん、結論を出すことはできないと思うのです。科学はみんな仮説です。古い仮説が新しい仮説で置き換えられていくだけだと思うのです。それを持ち寄るのは害がないのではないでしょうか。

山岸:それはいいんですが、超能力を扱っていると種類の違う人がいるのです。そういう人がずかずか入り込んでくる。めちゃくちゃになってしまう。まともな人は少ないと思わなければならないんです。特に会員が増えてからコントロールがきかない。そういう事で、我々はなぜとは言わない。それが基本です。大切なのは体験を積む事です。 科学者はなぜ、なぜと言ってくるのですが、なぜがわかれば、僕はこんなことしていないよと。それがあらかたどういうものだとわかってからでないと、実験をしたりする手法さえ導き出せない。その為にはたくさんの体験を積むことなんです。

森田:気を悪くするかもしれませんが、それは宗教と似ていると思います。宗教もなぜを排除している。どの宗教も体験が先だと言う。

山岸:それは逆さだ。宗教は理論が先にきている。それに当てはめようとする。こちらには理論は何もない。宗教と似ていると言うのは違う。

森田:なぜっていう追求は永久にしないのですか? 山岸さんがやっている間はなぜの追求はないのではないか

山岸:僕らの場合は冒険者なんです。学者ではない。試行錯誤で道を作るのが仕事です。そういう意味では工学だ。科学者がこれはいけると考えてくれるまで僕らはやる。その時には科学の世界と僕らの遊んでいた世界とは別のものになると思う。僕は科学と相互通行になるとよくないと思う。

森田:そうですかね、地動説をうちだしたガリレオやケプラーは、自分達でデータも取り、なおかつ理論も作った。誰かに理論作りを任せたわけではない。もしこの中でやらなければ理論は100年も200年も遅らせてしまうのではないか。僕は死ぬ前に1000年後の世界をかいまみたい。理論はあとからでもいいよと言われると、ああつまらないと思ってしまう。

山岸:僕らの仕事はフラットに見ることだ。だれがどう考えていただいてもけっこう。内からは何を持ち出してもかまわない。どんどん結果は持ち出してかまわない。だけど外からは何も持ってくるなです。

森田:外から持ってきてはいけないんですか?

山岸:今までの概念がどれほど違うか、やってみないとわからないんです。外から持ち込むなと言うのは、自分でいちから確認しろといいたいんです。そしたらそれがウソかほんとかわかる。

 山岸さんの場合、ある日突然超能力が出てきてしまった。それを自分だけではなく、他の人も同じように使えないかと考え、カセットテープやCDに封入した。
 つまり何故と考えるのはCDを聞いた当人がやればよいのだ。山岸さんはその為の素材を提供している。その開発に徹する事がもっとも早く「何故」の回答に近づく方法だとわかっているのかも知れない。
 山岸さんもからだが幾つもあるわけではない。「何故」の追求はそれぞれの分野の人が、それぞれに追求すれば良いのだ。
 そういう意味では、私はその一つのケースをやっているのかも知れない。


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