「1でもあり0でもある」…53 ビーナスとの別れ

  

 
 
 これはアレスの宮殿です。
 静閑なたたずまいですが、中では緊張が走っていました。
 
「ビーナス、良く聞け。これから何が起こるか、知っているな?」
 
「はい…」
 
「ハルモニアを連れて金星に逃げろ」
 
「あなたは?」
 
「私はここでやることがある」
 
「あなたも逃げて」
 
「できない! この日のために私は生まれてきたんだ」
 
「あなた…」
 
 アレスは小型宇宙船を用意するとビーナスとハルモニアを無理矢理押し込み、発進ボタンを押しました」
 
「あなた〜!! あなたも脱出用の宇宙船で最後は逃げてね〜」
 
「ラージャー、ビーーーーナス!!」
 
 ふたりを載せた宇宙船が小さくなると、アレスは宮殿に戻り、コンソールディスプレイの前に
座り、キーボードをたたき始めました。
 アレスはイケメンであり、しかも理系でした。
 
「むむむ、このまま天体が衝突すると、ここの陸地じゃないか…。陸地に衝突したって意味がない。生命は海に生息しているんだから」
 
 しばらく計算して、彼はつぶやきました。
 
「小惑星の軌道を変えるしかない。だとすれば自分が脱出するための宇宙船をぶつけよう」
 

六爻無料サービス : 投稿者 もりけん : 2013/01/07 08:11:36 | コメント